研究課題
電子線を試料に照射した場合、入射電子の多くは試料厚みに応じて吸収され、透過する電子の数が減少し暗く映る。多くの非晶質試料の場合、傾斜角度と連続傾斜像のコントラストが一義的であり再構築像を得ることは用意である。しかし、結晶質材料の場合は、傾斜角度によって電子回折現象が生じ、密度、厚みや分子量の変化とは無関係な回折コントラストが発生してしまい、3次元の再構築を行うのが困難である。今年度は回折コントラストの影響が少ない2次元STEM観察法(環状暗視野(ADF)法と3次元電子線トモグラフィ(3D-ET)法を組み合わせることにより、窒化チタニウムにシリコンを添加したナノ複合粒子の形態解析に適用した場合や超電導体中のピン止めセンターの3次元観察を行い、3次元形態やその分散状態などの3次元解析を行った。この結果、窒化チタニウムには様々なサイズのTi_5Si_3や、超電導体にはピン止めセンターとして働いている析出物の形状ならびに分散状態が明らかとなり、特性と微構造の相関を解明した。また、東北大学と共同研究を行い、非晶質である有機材料(フタロシアニン)の表面に付着している結晶質である貴金属(白金)ナノ粒子の分散状態の解明を行った。HAADF法を用い連続傾斜像を取得することにより、より簡便に3次元再構築像を取得することが可能であることを明らかにし、貴金属粒子の分散状態の解明を行った。
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