研究課題/領域番号 |
19360318
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 英治 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (80180280)
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研究分担者 |
波多 聰 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 准教授 (60264107)
池田 賢一 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教 (20335996)
光原 昌寿 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 特任助教 (10514218)
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キーワード | 耐熱構造材料 / 極低ひずみ速度 / 高温変形 / クリープ / 余寿命評価 / コイルばねクリープ試験 |
研究概要 |
高温における金属材料の変形挙動は、格子欠陥の運動に拡散が関与するため、非常に複雑な物理現象である。 特に耐熱構造材料にとって高温・長時間すなわち低ひずみ速度域での変形挙動は、材料の余寿命評価の点においても重要視されている。しかし、一般に低ひずみ速度域での変形は、拡散クリープによって起こると考えられているが、実験的に判別することが困難である。そこで本研究では、低ひずみ速度域でのクリープデータを得るための手法としてコイルばねクリープ試験法の確立を目指し、実用耐熱構造材料の低ひずみ速度域での変形挙動を明らかにすることを目的として研究を行っている。 今年度は線材の作製が困難な鉄鋼材料において、管材を用いたコイルばねクリープ試験法について検討した。 対象とした鋼種はSUS304および15Cr鋼であり、これらの管材から、旋盤を用いてらせん状に切り出し、断面が長方形となるコイルばねクリープ試験片を作製することに成功した。 これらの試験片を用いて種々の条件でコイルばねクリープ試験を行った。その結果、SUS304においては、単軸クリープ試験と同じ条件において同様の定常ひずみ速度が得られた。また15Cr鋼においては、通常行われる鉄鋼材料のクリープ試験条件よりも低温・低応力においてもクリープ変形をとらえることができた。試験結果より、応力指数を求めたところ、低応力域において、これまで理論的に述べられてきた拡散クリープの応力指数である約1が得られた。しかし、拡散クリープでは生じないと説明されている遷移クリープが確認されたため、新たな変形機構がとらえられた可能性もあるが、今後の検討が必要である。 以上を踏まえて最終年度である平成21年度においては、極低ひずみ速度域の変形機構について詳細に検討するとともに、新たな余寿命評価法を提案することを目指す。
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