研究概要 |
提案者はNi_3Al冷間圧延箔の製造に成功し、この箔がメタノール分解に対して触媒活性を示すことを発見した。本研究では、Ni_3Al箔の触媒活性をさらに増大させる効果を持つ第3元素の探索を目的とする。1.コンビナトリアル触媒特性評価装置の設計、試作平成19年度は、有望な第3元素とその濃度を短時間で効率よく探索することが可能なコンビナトリアル触媒特性評価装置を設計、試作した。メタノール分解は吸熱反応であるため、触媒活性の高い試料ほど表面温度は低下する。表面温度は赤外線サーモグラフィーで同時に多数の試料を短時間、非接触測定が可能である。この表面温度と触媒活性との相関性、赤外線サーモグラフィーの特徴を利用して有望な第3元素の種類、濃度を効率よく探索することが可能である。試作した装置は、室温〜500℃の間で同時に18個の試料の触媒活性を評価できる。平成20年度以降は、この装置を用いてNi中の固溶度の大きさから有望と期待できるCu、Co、Mo、Zr、Fe、Cr、Si、Ti,Bの元素を選び、触媒活性を評価する。また、冷間圧延箔の製造が可能となったNi_3(Si,Ti)、Ni_3Al/Ni2相合金について、第3元素の触媒活性に及ぼす効果を検討した。2.Ni_3(Si,Ti)冷間圧延箔の触媒特性評価Ni_3(Si,Ti)箔のメタノール分解に対する触媒特性を評価した。酸素との親和力が強いSi、Tiを含むNi_3(Si,Ti)もNi_3Alと同様に自発的に触媒活性が増大する現象を見出した。酸素との親和力が強い元素が選択酸化する結果、Ni微粒子が形成し、そのNi微粒子が触媒活性を担うという提案者らのモデルの妥当性を示すものと考察した。3.Ni_3Al/Ni2相箔の触媒特性評価Ni_3Al化学量論組成からNi過剰側に偏奇したNi_3Ni2相合金箔もメタン水蒸気改質反応に対して触媒;活性を示すことを見出した。触媒活性におよぼす化学量論組成からの偏奇影響の詳細を検討中である。
|