研究課題/領域番号 |
19360321
|
研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
平野 敏幸 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, NIMS特別研究員 (90354183)
|
研究分担者 |
許 亜 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, 主幹研究員 (00370304)
出村 雅彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, 主任研究員 (10354177)
|
キーワード | 金属間化合物 / 触媒 / 表面ナノ粒子 / 合金化 / コンビナトリアル |
研究概要 |
本研究では、Ni_3Al箔の触媒活性をさらに増大させる効果を持つ第3元素の探索を目的とする。 1.触媒活性に及ぼす合金元素の影響 これまでの研究から、Ni_3Al箔がメタノール分解反応に対して自発的に触媒活性が増大するメカニズムを提案してきた。Ni_3Al中のAlがメタノール分解反応中に選択酸化される時、残されたNi原子が集まって箔表面で微粒子を多数形成し、このNi微粒子がメタノールを水素と一酸化炭素に分解する反応を促進するというメカニズムである。Ni_3Al箔はプリカーサーの役割を果たしていることになる。 このメカニズムを支持するように、Alと同様に酸素との親和力が強いSi、Tiを含むNi_3(Si,Ti)、Ni-Ti箔は、表面にNi微粒子を形成し、触媒活性は自発的に増大する。ただし、これらの元素を含む合金は、メタノール分解だけでなく、副反応である炭素析出反応を激しく促進させ、Ni微粒子の触媒活性を低下させるだけでなく、反応管の閉塞を引き起こす作用があることがわかった。 酸素との親和力があまり強くないCrを含むNi-Cr合金では、ほとんど触媒活性が見られず、提案したメカニズムと整合する。 しかし、さらに酸素との親和力が弱いFeを含むNi_3Feは予想に反して相当の触媒活性を示すことを見出した。表面にNi微粒子を形成しないことから、Ni_3Feはプリカーサーではなく、自身が触媒活性を有していることになる。詳細は現在、検討中である。 2.自発的触媒活性発現機構の解析 シンクロトロン放射光Spring 8の硬X線光電子分光装置を用いて、上記の自発的触媒活性発現過程におけるAlの挙動を詳細に解析した。反応初期では、表面にAl_2O_3が一様に形成され、Ni微粒子が形成されるとその周囲ではAl(OH)3が形成されるという複雑な過程を明らかにした。
|