研究概要 |
本研究は,放電加工環境を適宜選択して,スリット中心追跡制御方式による微小工具あるいは機能性微小部品の実現を目的とする.このためにピエゾ駆動を用いた高応答・高分解能型の放電微細加工装置を開発する. 平成20年度は昨年度に得られた結果および試作加工機械を用いて以下の5項目を実施した. 1)放電プラズマおよび近傍材料温度計測 昨年度に製作した2色放射温度計を4色放射温度計に改良して、より安定な放電プラズマ温度計測を実行した.さらに、熱電対の放電製作工程における短絡電位の直接測定から放電終了直後の瞬時温度計測を実行した.これにより材料の凝固過程における温度変化が測定できた. 2)マイクロ放電加工における機上計測 前年度に開発製作したピエゾチューブ型のプローブ・工具走査装置を改良して、放電加工面およびマイクロ工具のSTM方式による機上観察を行った. 3)磁性体のマイクロ加工 微小磁性体部品を製作するために、着磁後のネオジウム磁性体に対して放電加工を実施し、磁化分布の制御可能性について検討した。入力パワー密度により加工形状と磁化分布とを独立に制御する条件を議論した. 4)絶縁材料液中マイクロ加工 申請者らが開発した補助電極法を用いて窒化珪素に対して10〜十数μm程度のマイクロ穴あけ加工を実施した.この程度の微細構造を有するマイクロ部品は製造可能であることを実証した. 5)電子ビームマイクロ加工との比較検討 各材料に対するマイクロ加工特性を評価するため限界電子ビーム加工を実施した.その結果、材料表面張力の温度依存性が重要な役割を担っていることを実証した.これにより、マイクロ放電加工においても材料の表面張力を考慮すべきであるとの結論を得た。形状計測には前記のSTM型プローブ計測を行った.
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