研究概要 |
本研究では電磁力衝撃圧着を利用した多層同時接合により高機能性構造材料を得ることを目的とし,その基礎を確立するため,単層接合による同種・異種金属の電磁力衝撃圧着界面を主に透過型電子顕微鏡により構造解析した.さらに高速度ビデオカメラを用いて電磁力衝撃圧着過程のその場観察を行い,衝撃圧着機構を検討した. 電磁力衝撃圧着した接合材は,コイル幅に対応するFlyer plateの一部がParent plateに向かって変形していた.しかし変形した領域全てが接合されているのではなく,コイル中央部に対応する領域では接合されず,その両端部において接合が行われていた.接合界面は接合する組合せに依存せず波状を呈し,波長は変形部中央からの距離が増加するほど増加し,振幅はある位置までは増加したがその後は減少した.電磁力衝撃圧着過程のその場観察により,初期衝突点はコイル中央部であり,さらに衝突点が移動するに従って衝突角度が増加することが明らかになった.波状界面の波長および振幅の位置による変化は衝突角度が増加することが原因であると考えられる.さらに,波長・振幅は衝突速度が増加すると共に増加することも明らかになった. 2元系平衡状態図において金属間化合物を生成する金属の組合せでは,その接合界面に中間層が観察された.透過型電子顕微鏡を用いた構造解析の結果,中間層は微細結晶粒や微細金属間化合物粒,さらにはアモルファス相から構成される複相組織であることが明らかになった.金属間化合物を生成しない組合せの接合界面には中間層は観察されなかった.いずれの場合においても,接合界面極近傍においては結晶粒が数百nm径にまで微細化されていた.このような組織変化は,接合界面が母材よりも高強度・高靭性化されている可能性があることを示唆している.
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