研究概要 |
本研究では電磁力衝撃圧着を利用した多層接合により高機能界面を有するバルク構造材料を得ることを目的とし,その基礎を確立するため,電磁力衝撃圧着による多層接合を試み,各界面形態を比較・検討し,界面形態制御のための支配パラメータを検討した. 供試材には厚さ0.5mmの純アルミニウム板を用いた,金属板の変形挙動および衝突挙動を調査するために高速度ビデオカメラによる多層接合過程をその場観察し,板の平均移動速度を電流波形と衝突波形を観測することにより測定した.電磁力衝撃圧着接合界面の組織観察を行い,波状界面の波長や振幅を定量評価した. 接合過程のその場観察結果により,最もコイルに近い板が円弧状に張出し,固定具側の板へと順番に衝突して圧着されることがわかった.全ての接合界面において,コイル長手方向に対して平行に2箇所で接合されていた.接合部の位置は,コイル側から固定具側に向かうにつれて板中央側に移動した.これは, Flyer plateの厚さが増すことにより変形抵抗が増加し,衝突角度が固定具側に向かうにつれて減少したためであると考えられる.また,接合界面は特徴的な波状形態を示し,その波長は中央からの距離が増加すると共に増加したが,振幅はある位置まで増加した後,減少した.各波状界面の最大波長・最大振幅を比較すると,コイル側から固定具側に向かうにつれて減少していた.また,板の平均移動速度はコイル側から固定具側に向かって減少していた.この衝突速度の減少によって接合界面に発生する応力値が減少したことにより,波状界面の波長や振幅が減少したと考えられる.
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