研究課題/領域番号 |
19360332
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣瀬 明夫 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70144433)
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研究分担者 |
佐野 智一 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30314371)
小椋 智 大阪大学, 工学研究科, 助教 (90505984)
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キーワード | ナノ粒子 / 酸化銀還元 / 焼結 / 固相接合 / 分子動力学シミュレーション / パワー半導体 / ダイボンデイング / 鉛フリー |
研究概要 |
本年度は、接合温度、接合加圧力の低減を目的に、前年度までに開発した、酸化銀粒子と還元溶剤を用いたナノ粒子その場形成接合プロセスを用いて、(1) 接合界面でのナノ粒子の焼結機構の解明、(2) 接合温度、接合加圧力の低減、(3) エレクトロニクス実装への適用について検討を行った。(1)については、金、銅、アルミニウムを被接合材として用い、これらと銀ナノ粒子との界面焼結機構を検討した。金については、銀ナノ粒子は界面の広い範囲で金の結晶と整合して焼結し、界面でエピタキシアル構造を形成していることを、放射光X線計測、X線光電子分光、透過電子顕微鏡観察によって実験的に解明した。また分子動力学(MD)シミュレーションによってその動的な形成過程を検討し、ナノ粒はピコ秒オーダーで基板に焼結した後、界面から原子が再配列してエピタキシアル層を順次形成することを明らかにした。また、MDシミュレーションによって、界面での焼結性に及ぼす粒径効果と粒子配列の効果も明らかにした。銅、アルミニウムとの焼結については、焼結した銀ナノ粒子は、これらの金属の酸化皮膜を介して接合することが分かった。いずれについても接合温度を高くすると強度が向上し、用途によっては適用可能であることが分かった。(2)については、還元剤の選定によって、焼結過程で銀ナノ粒子に適度の粒度分布が得られるように、酸化銀還元速度を制御することで接合の低温、低加圧化が可能であることが分かった。これによって接合温度を250℃から200℃に低減できた。(3)については、本接合プロセスを用いて、パワー半導体チップをダイボンドしたパワーモジュールを試作し、熱抵抗と温度サイクル試験による長期信頼性を評価した結果、熱抵抗は従来の鉛リッチ高温はんだより優れており、長期信頼性も同等以上であることが分かった。これらのことから本プロセスはパワー半導体モジュールの実装に適用可能であることが示された。
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