研究概要 |
本研究は,溶接プロセスの十分な理解と正確な予測の実現を目指し,アーク溶接プロセスにおけるプラズマ中の金属蒸気の種類および密度の動的な空間分布変化,プラズマ温度分布の動的変化,材料への入熱密度分布の動的変化,溶融池形成の時間変化を定量的に明らかにすることを目的としたものである. 平成19年度では,まず,金属蒸気の混入を考慮に入れた,「タングステン電極-アークプラズマ-溶融池-母材」を同時に一体化して計算する静止GTA溶接プロセスの非定常数値解析モデルの構築を試みた.その結果,アーク発生から溶融池が十分に形成される20秒間,金属蒸気密度の動的な空間分布変化,アークプラズマ温度分布の動的変化,材料への入熱密度分布の動的変化,溶融池の動的変化を時間ごとの数値計算シミュレーションとして出力することに成功した.また,本シミュレーション結果と溶融池の溶込み形状(実験結果)を比較した結果,極めてよい一致を示した.さらに,静止GTA溶接プロセスで生じる動的な金属蒸気の挙動とそれに伴うアークプラズマ温度の時間変化を実験的に把握するため,高分解能・高速度アークプラズマ診断システムを構築した.
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