研究概要 |
本研究は固相粒子が高速度で基材に衝突し、瞬間的に接合されて皮膜を形成する現象を解明することを目的としている。工業的にはコールドスプレー、アエロゾルデポジション等の名称で開発されており、NIMSでもWarm Spray法を開発している。 1.固体金属粒子の衝突過程の有限要素法解析を、粒子/基材が同じ材料、異なる材料の組み合わせについて行った。動的要素分割法を適用することにより、大変形に伴う解析結果の不安定性を抑え、より安定した解析が可能となった。特に硬粒子/柔基材、もしくはその逆の衝突の計算に有効であった。 2.実験で鋼基材上に衝突・付着したチタン粒子の内部組織、界面組織を透過電子顕微鏡で詳細に調査した。粒子内の組織が動的再結晶によって数十nmサイズにまで微細化すること、粒子と基材界面はせん断塑性ひずみが大きい領域で接合が生じていることなどが明らかとなった。シミュレーションによる変形挙動やひずみ分布などは、TEMによる粒子断面の観察結果と比較的良い一致が見られた。 3.条件のよく分かった衝突実験を行うために、可燃性ガスにブタンを用いた2段軽ガス銃を製作し,直径3mmのタングステンカーバイド球,鋼球および直径0.6mmの鋼球の衝突試験を行った.粒子の衝突によってアルミニウム合金に生じたへこみの大きさ,深さから,0.6gのブタンの充填量によって,3mmタングステンカーバイド球では約900m/s,鋼球では1500m/s,0.6mmの鋼球では約800m/sの衝突速度が得られていることが確認された。 4.セラミックスの微細粒子衝突実験に先行して、超音速ノズルから真空チャンバーに噴出する窒素ガスの超音速噴流の層流数値シミュレーション,および超音速気流により加速される固体粒子の速度の計算を行った。その結果,超音速ノズルの末広部を長くすることで粒子速度を大きくできることが分かった。
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