研究課題
本研究の目的は、超熱分子ビームによる次世代ナノファブリケーションの実空間"その場"観察の実現である。近年、極薄膜の組成および膜厚を特定領域に原子レベルで制御することが、ナノデバイス開発にとって不可欠となっている。分子ビームの並進運動エネルギーを利用すれば、熱反応では困難な空間選択的表面化学反応の実現が期待できる。これまで放射光リアルタイムXPS(SR-XPS)によって、反応時間に伴う吸着量および化学結合状態を詳細に調べてきたが、平均的な空間情報であった。そこで、並進運動エネルギーに依存した表面形状の違いを走査型トンネル顕微鏡により原子レベルで"その場"観察をする。SR-XPSと相補的に実験を進めることで、表面化学反応機構の全体像を詳細に明らかにする。当該年度に実施した研究は以下の通りである;1.Si(111)-7×7表面の室温酸化に関して、反応量、初期吸着確率および化学結合状態に及ぼす酸素分子の並進運動エネルギーの効果をSR-XPSの観測データから明らかにした。2.SPring-8のBL23SUのSUREAC2000に走査型プローブ顕微鏡システムを導入し、表面化学反応の"その場"原子分解能観察を放射光ビームラインにおいて実現した。3.レストアトムとSi^<4+>を含む酸化物の共存を示唆するSR-XPSで見出したバックフィリング室温酸化条件に関して、7×7構造と7×7のアドアトムに沿う一次元状酸化物の存在をリアルタイムSTM観察によって確認した。4.並進運動エネルギーが0.06eVと2.3eVの条件におけるSi(111)-7×7表面の室温酸化に関して、分子線照射後の表面形状に明瞭な違いがあることを見出した。5.実空間観察の実験対象として、Ge等のさまざまな産業応用上重要な固体表面酸化反応の並進運動エネルギー効果をSR-XPSで詳細に調べた.
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