研究概要 |
水素プラズマ溶解は常圧溶解法であるにも関わらず、高真空溶解と同程度、またはそれ以上にZr,Hfの高純度精製に有用なことを本研究で明らかにした。本年度はその水素プラズマ溶解の精製機構を詳細に検討した。また、水素プラズマ溶解の汎用性を検証するため、高純度化が比較的困難なTiを対象に、高純度精製を実施・調査した。 【1】水素プラズマ溶解の精製機構の検討 高純度Hf(公称純度99.7%)に、Al,Cu,Cr,Fe,TiをHfに対して約0.1%添加し、Hf希薄合金を溶製後、これを出発原料に、水素5~30%のプラズマ溶解を行い、各添加元素の蒸発除去・低減に対する「プラズマ水素量(%H_2)」の影響を調べた。その結果、各蒸発除去速度は1次反応に従い、その除去速度定数は(%H_2)の0.5~1乗に比例し、(%H_2)に明瞭に依存した。この結果から、プラズマ高温内で解離した活性水素Hが、溶融金属表面からの高蒸気圧・不純物元素の蒸発を促進する、即ちガス側境界層内で不純物蒸気のキャリアーとしてHが働く精製機構を提案した。この精製機構により、常圧水素プラズマ溶解は高真空溶解と同程度またはそれ以上の精製効果を発現するものと結論付けられた。 【2】水素プラズマ溶解精製の汎用性(Tiの高純度精製) スポンジTiを10~50%H_2+Arプラズマ溶解することで、Tiより蒸気圧が高い不純物Fe,Al,Mn,Cu,As,Cl等の蒸発除去が認められ、Tiの高純度精製に水素プラズマ溶解の有用性が確認された。
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