研究概要 |
粉体層を固気混相流と捉えて,粉体として重質炭酸カルシウムを用いて,固気サスペンジョンの粘度測定を実施した.そして、固液サスペンションと同様に粘度測定から粒子間の凝集性評価を行った.この結果,シリカ粒子と同様に重質炭酸カルシウムにおいても,固液系と固気系での粒子間結合エネルギーが同程度の値を示すことがわかった.重質炭酸カルシウム粒子は非球形で粒子径分布を有する粒体であることから,薄井により提案された凝集性評価モデルの拡張方法の妥当が示唆された.さらに、これより限定的な条件下ではあるが固液サスペンションの粘度から,固気サスペンションの流動性予測の可能性が見出せた.一方、シリカ粒子および重質炭酸カルシウムを対象として、原子間力顕微鏡を用いて粒子間力の直接測定を行い,粒子間凝集エネルギーを算出した.粒子間に働く力や力が働く粒子間距離は大気中と液中では異なる結果が得られた.シリカ粒子を対象とした場合には,液中および大気中それぞれにおいて直接測定した凝集エネルギーが粘度から推算した値と良好に一致した.しかしながら,大気中では液中に比べて一桁程度凝集エネルギーが大きい結果となった.これは、液中では粒子間に働く力に対するpHの影響が大きいためと考えられ,今後大気中で測定した結果と同等の値を示すpHを特定する必要がある.また,重質炭酸カルシウムに関しては粒子径だけでなく粒子形状にバラツキが極度に大きく,粒子間力を適切に測定することが困難であった.粒子の選別,カンチレバーへの取り付け,試料作製方法を含めて検討する必要がある.
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