複数の分子認識ゲート及び反応系を組み合わせたマイクロカプセルまたは酵素自身を開発する。さらに、それぞれのマイクロカプセルまたは酵素を組み合わせ、生体システムの様な新しい反応系を構築する。1次元に配列させたマイクロカプセルリアクタを形成し、シミュレーション結果より、反応の自律的制御が可能であることを確認した。このモデルを用いて、様々なシグナル変化においても、配列させたマイクロカプセルリアクタの自律的反応制御が可能であることを確認した。さらにアイデアを発展させ、マイクロカプセルが無くても、酵素活性自身に基質以外の分子シグナル認識性能を持たせることも目指した。酵素の基質ポケット周囲に分子認識により膨潤・収縮するポリマーをコンジュゲートし、基質の出入りを制御する基盤の構築を目指した。これに成功すれば、マイクロカプセルが無くても自律反応系が形成でき、さらに小型のマイクロリアクタ開発が可能となる。2つの基質が同時に来たときにだけ反応する酵素を選択し、基質ポケット周囲以外のポリマーとの反応活性点を遺伝子工学的に除き、基質ポケット周囲に反応活性点を同様に遺伝子工学的に導入することに成功した。また、発現した酵素は、遺伝子改質しても活性を維持することを確認した。また、分子認識するセンサー部位と、膨潤収縮するアクチュエータ部位とを有するポリマーであり、ポリマー末端に選択した酵素の反応活性点と結合するポリマーの合成にも成功した。さらに発展系のマイクロリアクタ開発に挑戦しているが、基盤は整い、この酵素を用いてコンジュゲート、複数の分子シグナルによる反応活性制御、連携を今後行う予定である。
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