研究概要 |
本研究は,超音波反応場を最適化した100L規模の超音波大型反応器の設計指針と操作条件を明らかにすることを目的とする。本申請研究の初年度にあたる平成19年度は、超音波大型反応器(大型ソノリアクター),またはその容器内の反応場を評価する方法の確立を目指し,小型円筒型ソノリアクター,および20L級の直方体型ソノリアクターを用いて実験的検討を行った。得られた主な知見をまとめると以下のとおりである。 (1)アルミニウム反射板を用いて,大きなソノケミカル効率を与える液高さの共振状態と,小さなソノケミカル条件を与える非共振状態で,ハーモニックおよびサブハーモニック周波数成分に着目しながら音響信号の周波数特性を調べた。その結果,高いソノケミカル効率を与える液高さの条件では,ハーモニック成分が多く発生し、サブハーモニック成分が少なくなることがわかった。一方、小さいソノケミカル効率を与える液高さの場合,ハーモニック成分が少なく、サブハーモニック成分が多く発生していることが明らかとなった。以上のことより,音響信号の周波数特性から,超音波反応場を評価,制御できる可能性が示唆された。 (2)LDV(Laser Doppler Velocimeter)を用いてソノリアクター内の超音波照射下における水の流速分布を測定し,ルミノール法で測定した超音波化学反応場とその周辺における流れ場の比較を行った。その結果,反応器内には反応場と流速分布が存在することがわかった。また,反応場内では上下左右に非常に乱れた流れが形成されており,流速のばらつきが大きい傾向であるのに対して,反応場外ではある程度一定の流れを形成していることが明らかとなった。
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