研究課題/領域番号 |
19360361
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岸田 昌浩 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60243903)
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研究分担者 |
竹中 壮 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10302936)
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キーワード | 担持Ni触媒 / 担持Pt触媒 / カーボンナノチューブ / カーボンナノチューブ-金属ナノ粒子コンポジット / シリカ被覆 |
研究概要 |
カーボンナノチューブはその構造に由来する特異な化学的・物理的特性を有しており、機能性材料への応用が期待されている。しかしカーボンナノチューブ単味では機能性が乏しいため、カーボンナノチューブを機能性材料として利用するには、他の機能性物質、例えば金属ナノ粒子と複合化しなければならない。しかしカーボンナノチューブ表面は化学的に不活性であるため、カーボンナノチューブ上に金属ナノ粒子を固定化することが困難である。そこで本研究課題では、金属ナノ粒子からのカーボンナノチューブ生成過程に注目し、金属ナノ粒子とカーボンナノチューブから構成されるコンポジットの生成を試みた。まず担持Ni触媒に700℃でエチレンを接触させたところ、先端にNiナノ粒子を含むカーボンナノチューブが生成した。しかし生成したカーボンナノチューブの直径は不均一であった。これはエチレン分解中に金属Ni粒子がシンタリングしたためである。そこで金属Ni粒子のシンタリングを抑制するために、担持Ni触媒をシリカで被覆し、この触媒をエチレン分解に供した。その結果、シリカで被覆されたニッケル触媒は均一な直径のカーボンナノチューブを生成し、その先端に金属Niナノ粒子が存在することを見出した。またカーボンナノチューブとPtから構成されるコンポジットを作成するために、シリカ被覆炭素担持Pt触媒上でエチレンあるいはエタノールの分解を行ったところ、Ptからも均一な直径のカーボンナノチューブが生成し、Ptナノ粒子とカーボンナノチューブから構成されるコンポジットを生成することに成功した。また本研究で調製したPtとカーボンナノチューブから構成されるコンポジットを電極触媒に応用したところ、この触媒は優れた耐久性を示すことを見出した。Ptとカーボンナノチューブの強い相互作用により、Ptの耐久性が向上したと考えられる。
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