研究概要 |
・アルコール選択光触媒酸化:ニオブ酸化物触媒を銅で修飾した触媒はアルコール選択酸化に対して高い活性を示した。また,この触媒系に特徴的な事は,時間はかかるが,酸化的脱水素反応がほぼ定量的に進行する事である。生成する水によって強い被毒を受けない。触媒活性と銅の修飾量の相関性について調べると,1.9mol%の修飾量までは,ほぼ直線的に活性は上昇し,銅は高分散に担持されるものと期待された。反応前はかなり大きな銅金属として存在するが,アルコールとの接触,光照射等により反応中では,fcc(面心立方格子)の特徴をのこす動径分布を与えた。結局,反応中の銅は,小さな筏型構造を取っており,1価-2価の酸化還元挙動を繰り返しているものと結論された。 ・担持バナジウム酸化物触媒の励起機構につき,主に,燐光スペクトルにより解析を行った。バナジウム酸化物は,2種類の励起を受け,不安定な一重項状態経て,同じ三重項状態で安定化する。これが活性種であり,この励起が,バナジウムのV=0結合に局在する事が,赤外吸収スペクトル,作用スペクトル,励起スペクトルから明らかになった。これらの励起機構は20年以上前から提唱されてきたが,機構そのものならびに励起部位を直接観察したのは本研究が初めてである。 ・酸化ガリウムが,水素に夜二酸化炭素の光還元に対し有効である事を見いだした。反応の機構は,従来型の,二酸化炭素の直接電子還元ではなく,酸化ガリウムのバンドギャップ励起に基づくものである事が明らかとなった。また,吸着した水素(解離吸着)と二酸化炭素のラングミュア-ヒンシェルウッド機構で反応が進行する事を見いだす事ができた。
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