研究概要 |
研究目的/ 本研究では、緻密なゼオライト膜の合成手法をまず開発する必要があることから、平成19年度においてはゼオライト膜の合成,構造と物性のキャラクタリゼーションについて集中的に検討し、合成法を確立することを目指した。 研究方法/ まず、平板型の非多孔質支持体上に塗布した種結晶からの結晶成長の様子を観察して、水熱条件下における結晶成長条件の検討を行った。具体的には,原料濃度・種結晶の添加量・結晶化温度・結晶化時間などを制御して、アスペクト比の低いモルデナイト、ZSM-5を支持体上に育成する条件の探索を行った。ここで最適化された条件を以って、多孔質支持体アルミナ支持体上に塗布した種結晶を成長させることで、支持体表面付近の空隙をゼオライト結晶で埋めることにより、緻密なゼオライト薄膜の調製を試みた。 研究成果/ ゼオライトの結晶成長過程を明らかにして結晶成長を合理的に制御し、多孔質α-アルミナ支持体上に緻密なゼオライト多結晶薄膜を合成する方法を提案した。合成したこれらゼオライト膜骨格と、ゼオライトミクロ細孔内のNaカチオン対する水やメタノールの強い吸着を利用し、100-300oCの比較的高温でも機能する新規な脱水、脱メタノール膜を開発した。水およびメタノール膜透過係数107mol m2 s1 Pa1以上,選択性100程度と、当初の開発目的を達することができた。 さらに、本研究にて合成したNa型ZSM-5膜を用いることで、例えばC6炭化水素異性体からn-ヘキサンを150350oCの広温度域で高選択的に透過分離できた。このような膜透過分離特性は従来の分離膜では得られなかったものであり、当初の予定を上回る成果が得られた。
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