研究概要 |
前年度の研究“ウイルス表面へのタンパク質の提示法の確立"の検討結果をもとに下記の研究を行った。 1, ヒト由来抗体分子を提示したナノバイオマテリアルの作製 ヒト抗体分子は膜貫通領域を有しておらず、膜貫通領域を付加させる必要がある。バキュロウイルスのエンベロップタンパク質であるGP64膜貫通領域を利用して、バキュロウイルス表面に提示させる方法を確立するために、プロレニン受容体(hPRR)を用いて検討を行った。GP64の80番目と81番目のアミノ酸の間に膜貫通領域を取り除いたhPRRを挿入することで、バキュロウイルス表面にhPRRを提示させることが可能であった。今後この方法を応用して、抗体分子の提示を試み、次年度の抗体提示ナノ粒子を作製する。 2, ヒト由来プロレニン受容体(hPRR)を提示したナノバイオマテリアルの作製 1項においてhPRRをGP64と融合タンパク質の形で発現させることで、バキュロウイルス表面に提示させることが可能であった。またhPRRをネイティブな形で発現させることで、GP64と融合させることなしにバキュロウイルス表面に提示させることができた。これらのhPRR表面提示バキュロウイルスは、Bm5細胞およびカイコで生産可能であったが、カイコを用いることで培養細胞よりも大量に生産することが可能であった。これらウイルスはSephacryl S-1000SFカラムを用いたゲルろ過クロマトグラフィーでカイコ体液由来のタンパク質の混入なしに精製することができた。今後、精製バキュロウイルスを用いてタンパク質提示方なのバイオマテリアルとしての評価を行う。
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