1)タンパク質(プロレニン受容体)を提示したバキュロウイルスを用いた免疫学的応答性の解析 Green Fluorescent Protein (GFP)をプロレニン受容体のN末端側に融合させたヒト由来膜タンパク質をBmNPV上に提示させ、カイコ体液からの効率的な精製を行った。膜タンパク質遺伝子のN末端側のシグナル配列を除去し、そこにカイコ由来ボンビキシンのシグナル配列を連結させたGFPを付加することでGFP融合遺伝子を構築し、BmNPVバクミドのポリヘドリンプロモーター下流にその融合遺伝子を挿入し、遺伝子組換えBmNPVバクミドを構築した。カイコ体液には高濃度のウイルスが含まれており、カイコ体液をウイルス液として再度カイコに注射することで、遺伝子組換えBmNPVを含むカイコ体液を回収した。体液を直接Sephacryl S-1000カラムクロマトグラフィーに供することで、遺伝子組換えBmNPVの精製に成功した。さらに精製条件を改善することで238倍の精製度でタンパク質mgあたり1.5×10^9個のプロレニン提示ウイルスを回収することができた。このウイルスを用いてリガンド結合性を調べた結果、結合性を有した。 2)1本鎖抗体(ScFV)のバキュロウイルス上へのディスプレイとその評価 1本鎖抗体ディスプレイ用バキュロウイルスを発現するために、1本鎖抗体にgp64タンパクの膜貫通領域、細胞質内領域の遺伝子を融合することで提示用の融合遺伝子を構築した。一本鎖抗体をELISAで定量したところ、4~8(μg/ml蚕体液)、gp64を融合しなかった場合の発現量(126μg/ml)の10%未満になった。ウイルスを精製した結果、ウイルスの精製の総回収率は22.2%であった。 上記の結果により、タンパク質提示バキュロウイルスは、リガンドのスクリーニングや将来ワクチン製造の基盤技術として十分応用が可能と考えら、今後活かせていきたい。
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