研究概要 |
本年度はTNF-alphaに対するモノクローナル抗体のキャラクタリゼーションと、取得したモノクローナル抗体から「スーパー抗体酵素」として機能する抗体の抽出を進めた。 1,TNF-alphaに対するモノクローナル抗体の免疫学的反応性の検討 酵素免疫測定法により、反応特異性を調べたところ、確立した17株の中の15株が高い反応特性を有しており、4株のIgM抗体がIgG抗体と同等の特異性を示すという特徴があった。TNF-alpaの部分ペプチドを合成してエピトープ解析を試みたが、サンドイッチ型の酵素免疫測定法では決定出来なかった。アッセイ系を変更して再検討を行う。 2,「スーパー抗体酵素」の抽出と酵素活性の検討 抗体産生細胞からRNAを抽出後、RT-PCR法によってcDNAを合成した。これを鋳型として抗体可変領域遺伝子を増幅させてpGEM-Tベクターに組み込んで塩基配列を決定した。この配列からVk germline geneを推定すると同時に、配列情報をアミノ酸変換して分子モデリングによる立体構造解析を行った。これまでの「スーパー抗体酵素」研究では触媒三ツ組残基様構造を持つIgG型の抗体を取り扱ってきたが、抗TNF-alpha抗体ではIgM抗体にも触媒三ツ組残基様構造を持つものが含まれていた。我々は、抗体の中には免疫応答による突然変異によらず、潜在的に酵素機能を有しているものがあると考えている。IgM抗体は免疫の初期に産生される抗体でIgG抗体よりもgermlineに近い段階の抗体であることから、IgM完全抗体の酵素活性の検討に着手した。合成基質を使ってAmidase活性の検討を進めている。
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