研究概要 |
本年度は、おもにTNF-alphaに対するIgM型スーパー抗体酵素の抽出と精製方法の確立、および酵素活性を発揮させるための反応条件の最適化を行った。 1,IgM型スーパー抗体酵素の抽出 TNF-alphaに対するIgM型抗体の立体構造解析の結果から、酵素活性を検討する抗体としてETNF-11,-12,13抗体を選択した。これらの抗体を含むマウス腹水から抗体を精製する方法としてAffinity精製と組み合わせる第二の精製方法を検討し、変性条件下のサイズ排除HPLC精製行う手法を確立した。 2,IgM型スーパー抗体酵素の酵素活性の検討 精製ETNF-11,-12,-13抗体について、まず完全抗体の状態でのAmidase活性を調べた。基質にはPeptidyl-MCA基質を用いた。その結果、活性の強さはETNF-13>ETNF-12>>>ETNF-11となり、ETNF-11については、ほとんど酵素活性は認められなかった。そこで、ETNF-13完全抗体を用いて酵素活性を発揮させるための、緩衝液組成について検討すると、50mM Tris-HCl,100mM Glycine,0.1mM CHAPS buffer(pH7.7)が最も適していた。 分子モデリングによる立体構造解析では、ETNF-13抗体は軽鎖上に触媒三ツ組残基様構造を持っと推定されたことから、軽鎖を調整してAmidase活性を調べると、抗原反応基当たりの酵素活性は軽鎖単独の方が完全抗体よりも高いことが分かった。
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