研究概要 |
本年度は、昨年度までに抽出したTNF-alphaに対するIgM型スーパー抗体酵素、およびその抗体鎖に加え、IgG抗体鎖型スーパー抗体酵素の酵素活性を評価した。 1, Amidase活性の評価 IgM型スーパー抗体酵素のETNF-11,-12,-13抗体については、完全抗体と抗体鎖、IgG型スーパー抗体酵素では抗体鎖を調製し、Peptidyl-MCAで、基質に対する基質特異性と反応速度を比較した。加水分解傾向が強かったのはTrypsin用の基質として市販されているQAR-MCAであり、この傾向は、他のスーパー抗体酵素とも類似していた。また、反応速度も0.01~0.1min^<-1>で、天然型抗体酵素の一般的な値を示した。スーパー抗体酵素の体内動態を考えると、10min^<-1>、最低でも1min^<-1>が必要であり、活性の向上が必要である。 2, TNF-alphaに対する分解活性の評価 一部の抗体・抗体鎖について、recombinant human TNF-alphaに対する分解試験を行った。37□での反応液をSDS-PAGEやWestern blottingで分析すると、スーパー抗体酵素を加えた反応液で、TNF-alphaのバンドが僅かに低分子シフトする傾向が認められたものの、それ以上の反応は起こらなかった。シフトしたバンド部分のN末端アミノ酸解析により、Exopeptidase様の分解が進行していることが分かった。分解断片の方がスーパー抗体酵素との親和性が高く、生成物阻害が起こっていると考えられる。
|