研究課題/領域番号 |
19360379
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中村 史 独立行政法人産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門, 主任研究員 (40357661)
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研究分担者 |
徳元 康人 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70261170)
木原 隆典 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助手 (90436535)
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キーワード | 細胞操作 / RNA抽出 / AFM / ナノ針 / 蛋白質発現 |
研究概要 |
本研究の目的はナノ針を用いた単一細胞内からのmRNA抽出技術の開発である。poly(A)を標的としてpoly T鎖修飾ナノ針を細胞内に挿入し、一定時間保持した後に抜去し、SYBR Greenを用いてmRNA回収量を評価する方法を考案した。 まず、mRNAとpoly T鎖の二本鎖形成に必要な時間の検討を溶液中で行った。細胎内の組成を模擬したバッファーを用いてpoly-T鎖溶液とSYBR Green溶液を調製し、混合した後、mRNAを添加し、共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)を用いて蛍光強度の経時変化を観察した。mRNA添加6分後から蛍光強度が上昇し、10分以内に一定となった。 探針をSPMとAPMを用いて洗浄し、APTESでシラン化反応を行い、Sulfo-NHS-LC-LC-Biotinを架橋剤としてストレプトアビジンを固定化した。その後、50merのビオチン化poly-T鎖を修飾した。この探針をmRNA溶液に37℃で10分間反応させた。その結果、針表面積当たりのmRNA回収量は約3000分子/μm^2と見積もられた。 また、poly-T鎖修飾ナノ針の細胞への挿入確率を調査した結果、無修飾ナノ針で83%、ストレプトアビジン修飾ナノ針で83%、poly-T鎖修飾ナノ針で75%であった。poly-T鎖修飾されたナノ針表面は細胞と接触する表面積が増大し、挿入時の力学的抵抗の増加が起こるため、挿入確率が低下したと考えられる。挿入後のナノ針をSYBR Greenによって染色し、CLSMで蛍光観察した結果、明瞭な蛍光が観察され、mRNA目収が可能であることが示唆された。
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