本研究の目的は、電熱加速型パルスプラズマスラスタ(Pulsed Plasma Thruster:PPT)における、高インパルスビットの発生と、高総インパルスの達成である。各種のプラズマ診断法を駆使し、固体推進剤の溶融・昇華現象、続く放電現象、加速過程を調べると共に、数値計算による流れ場の構造解明を行う。それらの結果を基に、放電室の構造・材質を積極的に工夫・変更する。推進性能の測定、数値計算による性能予測を行う。 まず、チューブ状推進剤で作られた放電室を持つ電熱加速型PPTを設計・製作し、充電エネルギー5〜50ジュールの範囲で作動させた。放電室形状・材質は変更可能にした。推進剤に各種の高分子材・低融点ガラスを用いて、インパルスビット、放電電流波形を測定した。得られた結果より、比推力、推進効率、および内部効率であるエネルギー輸送効率、加速効率を見積もり、テフロンを推進剤に選定した。次に、流れ場の数値計算の結果から、電熱加速型PPT放電室内部、及び下流の噴出流の状態を考察した。溶融・昇華現象、プラズマ生成・加速過程を推定すると共に、それらの結果と推進性能との相関関係を検討した。定量的な検討を十分行い、高インパルスビット発生する方法として、テフロン推進剤供給機構を持つPPTではテフロン棒を分割し、軸方向に複数の供給方法を用いることにより、不均一損耗による放電室空間の拡大を押さえることに成功した。推進剤テフロンの供給機構を無くし、複数のテフロン製放電室を単一のイグナイタで点火させた。実質的な推進剤表面積を増加させ、個々の放電室の形状変化を押さえることができた。3放電室誘発型PPTを設計・試作し、推進性能の測定、連続作動試験に成功した。
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