研究概要 |
次の2つの成果を得た. (1) 拘束を受ける柔軟多体宇宙構造物の運動の保存型解法の構築 研究代表者が既に開発したゴサマー構造・柔軟構造の動解析コードNEDAに柔軟多体構造物における結合拘束の保存型解法を組み込み,真空槽での展開実験結果と比較し,その妥当性を確認した.そして,ゴサマー宇宙機の実機設計に本コードを適用し,本理論が実機設計に耐え得るものであることを確認した.実機設計に利用できることは,ゴサマー宇宙機を用いた宇宙利用の実現・発展にとって画期的なことである. (2) ゴサマー多体構造物の展開運動の地上試験法の提案と計測システムの構築 ゴサマー多体構造モデル(具体的には,膜面の剛体から成る構造物のスピン展開モデルについて,φ1000mmおよびφ2000mmのものの計2つ,250mmと800mの計2本のインフレータブルチューブモデルの合計4つ)を製作し,減圧下で展開実験を実施し,φ2000mmという比較的大きなゴサマー構造物モデルの地上実験が可能であることを示した.そして,高速度カメラを用いた展開運動計測システムを構築した.これにより,重力下という厳しい条件の中でゴサマー構造物の地上試験および計測の方法を示すことができた.このことはゴサマー構造物の実現に大きく寄与するものである. この他,本保存型解法の改良と性能評価に向けて,インフレータブル構造の連成解析法を整理し,計算例をいくつか示すとともに,ゴサマー構造物に関する文献調査を行い,掲載されている例に対応した解析を行った.
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