研究概要 |
本研究は,すでに実用化の入り口まで到達しているスーパープレッシャー型気球の設計技術を応用して,空気抵抗が小さくなるような細長い形状のスーパープレッシャー気球を設計するために必要となる,基礎設計データおよび実現可能な耐圧性能を取得し,飛翔可能な気球の設計方法の確立を図ることにある。 巨大な体積を有する所定の膜構造物を実現するためには,非線形の弾性的な性質をもつ薄膜とファイバーの特質から,実際にスケールモデルを製作して検討および試験を行う必要がある。また,同時に,実際の製造工程についても詳細な検討を行うとともに,実際の作業を通したフィードバックのための検証を行う必要がある。 本年度は,まず,昨年度実際に製作した大型のスケールモデルの製造工程の検証を行うとともに,屋内膨張試験で取得された圧力差,膜面の歪み,張力,直径,変形等の計測やビデオ等の映像機器によるデータ収集結果の検討を行った。これまでの結果及び新しく得られた実験の結果を総合的に検討し,所定の性能を達成しうる形状が形成されるように任意の大きさの気球の設計方法を確立した。さらに,飛翔試験を実施可能なようにモデルの改修を行った。 次に,実際の飛行環境での内部ガスの圧力や温度等の測定方法の検討を行い,特に,気球設計に反映可能な精度での温度計測を目的とした計測センサー部の設計と試作を行い,各種試験を通して性能の評価を行った。そして,気球の実飛翔試験に適用可能な環境計測部の設計手法とデータ算出方法の確立に向けた検討を行った。さらに,飛翔時に必要となる,実機での環境データ取得に向けた検討と準備を行った。
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