研究課題/領域番号 |
19360386
|
研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
國中 均 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (60234465)
|
研究分担者 |
西山 和孝 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (60342622)
細田 聡史 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 招聘研究員 (70423598)
|
キーワード | リモートセンシング / 高速中性粒子 / イオンエンジン / 大気圏再突入 / 宇宙実証 |
研究概要 |
過去に実績のあるENA検出器として、カーボン薄膜や斜面電離板とマイクロチャネルプレートを組み合わせた検出器や水晶振動子微小天秤(QCM)があるが、前者の検出器は実績があり検出感度も高いが、ENAを薄膜や斜面を用いて再電離する必要があり、構造が複雑になる。後者は前者に比べて構造が簡素で小型であり、ENA粒子を直接検出できるという利点がある。しかしながら、QCMは質量変化を検出するセンサーであるため、微少な粒子フラックスに対しては精度が低く、また時間応答性も悪い。これらの点を鑑みて、今年度は固体検出器であるアバランシュ・フォトダイオードを実測用の粒子検出システムとして確立するための開発実験を行った。固体検出器は構造が簡素・小型で、応答速度が速いという利点を持つ。APDは一般に光検出器として用いられるが、原理的に粒子に対しても感度を有するため、過去には1keV~100keVオーダーの電子及び陽子を検出する荷電粒子検出器としての開発も行われている。また、APDを特徴づける利点として、信号の自己増幅能力を備えていることが挙げられる。この能力は微少フラックスの検出に関して非常に有利であるが、数keVの重粒子については実験結果が報告されていない。 本研究ではAPDに1~2keVのAr、Kr、XeのENAを照射してその感度特性を取得した。驚くべきことに、APDはkeV程度のENAに対して感度を有しており、50倍程度の高い増幅率が得られることが実験的に確認された。また感度の上では,増幅された直流電流から、10^5個/sという微小なフラックスのENAまで測定できることが実験的に確かめられ、APDは人工イオンビームを用いた高層大気観測におけるENA検出器として高い応用性があることが示された。
|