研究概要 |
推進系統合型燃料電池は,システム重量軽減を目的として凝固点の低い燃料および酸化剤を用いた推進系として成立させると同時に、これに適用する燃料と酸化剤がそのまま燃料電池を動作させることが狙いである.推進系部分は,着火遅れ時間が推進薬温度の低下に伴って増加する課題の解決を試みた.燃料・酸化剤共に噴射器の霧化状態をより促進させる工夫を施した.水を用いた事前評価の結果,前回の設計よりも液滴の微粒化が向上していることを明らかにした.同設計の噴射器を用いて,常温,-15℃,-40℃の着火遅れ時間を評価したところ,-15℃では0.5sが0.1s程度に,-40℃では2.6sが0.3s程度まで短縮することに成功した.宇宙探査機での運用を想定した低温パルス燃焼の実現可能性を技術的に見出した. 併せて、上記推進剤を使用し、発電試験を試みている。ここでは酸化剤/燃料の両方を低温保管可能な推進剤とし、発電を実施した。特に、選定されている燃料と酸化剤の性情にあわせた液体推進剤の燃料電池への供給系を試作し、この供給系からの推進剤供給を受けつつ発電が実施可能であることを確認している。本反応は、本来、触れると着火する性質のある酸化剤と還元剤を安定に供給/循環させつつ発電を維持することが求められる。特にここでは、閉鎖系での運転を模擬できる装置を用い、閉鎖系での発電試験を実施し、安定な反応場が維持可能であることを確認した。
|