20年度は、直径10mmのCO_2ハイドレートの球を圧力セルに設置し、そこに清水を流すことでハイドレートを分解させ、後流での溶解ガスの濃度を測定する。数値計算では、実験と同じ条件下において、分解速度係数を変数として与え、流れと温度・濃度の輸送をCFDを用いて解析し、数値計算結果の後流でのガスの濃度が実験と同じとなるときの分解速度係数を求めた。同時に、ハイドレートボールの分解による体積変化を画像解析から求めた。 また、ハイドレートを利用したCO2貯留の課題として挙げられるのが、CO2ハイドレート生成フロントにおける閉塞現象である。これをコンピュータ上で再現しようとする場合、マイクロスケールでの閉塞シミュレーションが必要となる。このようなシミュレーション時の使用に耐えうるように、反応面積を固定化されたハイドレート生成実験と数値計算を用いて、CO2ハイドレートの生成速度定数、CO2ハイドレート中のCO2の拡散速度定数を抽出する必要がある。 そこで、CO2ハイドレートをCO2-H2O界面に生成さ、生成速度を計測することを目指、反応容器内で高圧のCO2とH2Oを接触させる実験を行った。生成速度はMicro DSCを用いて反応容器壁面に伝わったハイドレートの生成熱量によって計測した。その結果、壁面からの熱量は生成開始から8秒後までは生成速度定数にほぼ依存すること、8秒以降は拡散速度定数の影響が大きくなること、初期の水溶液中のCO2濃度は生成速度に影響を与えないことがわかった。
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