研究概要 |
1MH_Zと3MHzの搬送波を用いて,音響送受信機を設計,試作し,プロトタイプの音響ネットワークを構築して,下りと上りそれぞれ200KBPSと600KBPSの高い伝送速度を達成した。 1.システム構築 計画時は2MHzから4MHzの搬送数を使用するとしたが,1MHz,2MHz,3MHz,4MHzのトランスジューサーを作成し特性を調べたところ,1MHzと3MHzの組み合わせが最も良かったので,それぞれ下りと上りの搬送波周波数にした。ハイドロホーンの指向性や音響インピーダンスを計算し,音響受信機,音響送信機を設計,試作した。小型水槽において双方向通信テストを実施し送受信機能を確認した。ノートパソコンをデータ処理装置として使用し,2ノードのプロトタイプ音響ネットワークシステムを構築した。 2.送受信信号の同期 M系列の信号を送信し相関処理より送受信間の同期を取る予定だったが,本研究では位相変調されたデータ信号自身を利用し同期を取った。M系列の信号を送る必要がなくなるので,その分伝送効率が向上する。 3.マルチパス対策 浅海域での海面や海底の反射によるマルチパスを対処するために,フィードフォワードフィルタ(FFF)とフィードバックフィルタ(FBF)から構成した自適応デジタル復調器を設計し,マルチパスに対する補償効果をシミュレーションで検証し,フィルタの最適段数や適応アルゴリズムを選定した。 4.ネットワーク機能 1ビット5波の位相変調を行い,下りと上りそれぞれ200KBPSと600KBPSの伝送速度を達成した。ネットワークのプロトコールは携帯電話などに広く使われているPPP(PointtoPointProtocol)を用いた。現在2ノードだけだが,ログインやPingできることは確認された。 5.DSP化の準備 プロトタイプを実用化に近づくために,データ処理用ノートパソコンをデジタル,シグナル,プロセッサー(DSP)化する必要があり,その開発環境構築を準備した。 本研究で開発した技術は,海洋計測機器のネットワーク化への利用が期待される。
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