研究概要 |
II.実験との比較による計算主要部の検証と改良 開発した計算主要部を実験と比較することによって検証し,改良を行った.初年度,フロントの発生方法についての検討結果に基づいて製作した小型水槽を用いた実験と,高度化したスキームを組み込んだナビエ・ストークスの有限体積解による計算によって,同等レベルの正確度でフロントを再現し,フロント近傍の3次元非定常な密度場について,計算結果と実験結果を比較した. まず,染料によるフロントの可視化実験を行い,その画像の輝度分布から密度場を計測する画像計測システムを3次元的な方法に拡張し,異なる色のスリット光線を照射した断層画像から3次元的なRGB情報を取り出す方法を開発した.断面による密度場の定性的な違いは認識できるようになったが,異なる断面間のデータの干渉が小さくなく,定量的に分離するには至っていない. 初年度,計画だけで開発できなかった回転水槽の開発を行った.この回転水槽を用いた可視化実験を行い,回転がフロントの形状やその移動速度に与える影響について調べた.その結果,流体交換によって形成されたフロントは,3次元的に変形し,その変形量や時間変化の割合は,ロスビー数の関数で表わされることが確かめられた.回転座標系上での定式化を行い,計算に回転の影響を取りこんで,フロントの計算を行った結果,比較的ロスビー数の広い範囲で,フロントの形状変化と移動速度はともに実験値と定量的によく一致することが確かめられた.
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