研究概要 |
平成20年度の研究目的は以下の通りであった。 1)海域における津波被災数値シミュレーションを実施し,GISによる港湾内ハザードマップの作成 2)陸域における津波遡上後の流速特性や建築物へのインパクト荷重の検討と浮体の衝突被害の検討 以上を数値シミュレーション法開発・検討班,GIS適用班等の研究グループによって実施した。津波が発生してから港湾内に伝搬してくることを再現するシミュレーション法は前年度までのプログラムをバージョンアップし,精度の向上とシステム化に努めた。GISにはArc GISソフトを適用し,データベースを構築した。さらに,独自の可視化技術を検討し,数値シミュレーション結果を可視化してハザードマップの構成を検討した。 数値計算においては,浮体や船舶の岸壁への乗り上がり現象を再現することと,陸側への漂流と建築物への衝突の再現に主眼をおいて計算プログラムの開発を実施した。2次元問題において粒子法を適用し,数値計算の妥当性を水槽実験結果と比較することで確認した。また,静岡県清水市の清水港を対象に詳細な津波伝搬,係留船舶被害予測,貯木水面での漂流被害などの一連の数値計算を実施して,被害予測を総合的に判断した。これらの結果のうち,今年度は特に船舶の係留索,係留ロープの破断と乗り上がりの可能性についてハザードマップを作成した。
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