研究概要 |
潮流発電装置に使用するタービンブレードを複合材料にて製作するための研究,開発を目的とし,平成19年度は,潮流発電用タービンブレードに要求される材料物性を発現する厚肉積層材の研究を行った。 1)タービンブレードへの適用を想定したGFRP厚肉積層材をVaRTM成形法にて試作し,機械物性を確認した。一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群によって構成されるノンクリンプ織物と流動経路,含浸管理を工夫したVaRTM成形技術により,樹脂充填品質の優れたFRP材が成形でき,大幅な静強度,疲労特牲の向上が得られた。 2)厚肉積層材への樹脂流動,含浸管理のために,光ファイバを用いたFBGセンサによる樹脂流動モニタリング計測技術を研究し,十分精度で流動する樹脂の位置測定が可能となった。 3)潮流発電のタービンブレードに要求される荷重,剛性から積層材料に要される物性値を明らかにするために,発電量300kWクラスの実証試験に用いるタービンブレードを想定して,ブレードまわりの流れ解析による流体力を用いてブレードのFEM解析を行い,既存の金属材料による設計例と比較検討を行った。その結果,本研究で試作したGFRP厚肉積層材料の機械物性においてはブレードルート部のせん断強度が不足するが,断面積をより大きくするか中空モノコック構造のブレード形状とすることで,FRPの潮流発電用タービンブレードへの実用性が確認できた。
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