研究概要 |
本年度は福井市内幸橋の季節間蓄熱を用いた融雪システムにおける地中温度,路面温度,消費電力,融雪システム稼働状況等のデータ収集を継続し,これらの分析により群杭を用いた融雪システムの高い省エネルギー効果を確認した。また,融雪システムの数値シミュレーションモデルを構築し,測定データと解析結果とのヒストリーマッチングを実施した。気象データを入力としたヒストリーマッチングでは,実測値と計算値の良好な一致が見られ,構築した数値シミュレーションモデルの妥当性が検証された。さらに,同モデルを用いて日本各地における気象データに基づく融雪システムの適用性を検討し,本システムが様々な気象条件化で良好なエネルー効率を示すことを確認した。 また,福井平野における地中熱利用適地を選定するために,前年度までに構築し,検定を行なった広域的地下水流動系モデルの一部を切り出すことにより,局所シミュレーションモデルを作成した。局所でモルは福井平野中心部の地質および地下水条件が異なる13地点において作成し,これら地点における熱交換量予測計算を実施した。熱交換量は採熱のみを行う融雪運転ケース,および採熱排熱の双方を行なう空調運転ケースについて異なるシナリオに基づいて予測し,10年間経過後の熱交換量をコンターマップにまとめることにより熱交換量マップを作成した。これと並行して,広域地下水シミュレーションモデルより得た福井平野全体の地下水流速,温度の分布および福井平野の土地利用状況,地質等の情報を地理情報システム(GIS)により統合することにより,同平野における地中熱利用システム設置適地マップを作成した。両者の比較の結果,熱交換量マップと地中熱利用システム設置適地マップは近似した傾向を示すことがわかった。
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