研究課題/領域番号 |
19360412
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
栗下 裕明 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50112298)
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研究分担者 |
仲井 清眞 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (60038114)
小林 千悟 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (10304651)
阪本 辰顕 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (80403848)
畠山 賢彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30375109)
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キーワード | タングステン / 炭化チタン / 超微細粒 / 靭性 / 塑性加工 / 超塑性 |
研究概要 |
国際熱核融合実験炉(ITER)等の極限環境下での使用が計画されているタングステン(W)の課題は、VIA族遷移金属に特有な「脆さ」の克服であり、とりわけ照射環境下での顕著な脆化の克服である。この脆化の克服のために著者らがメカニカルアロイング(MA)法により開発した超微細粒W-TiCは、平均結晶粒径が50〜200nmと極めて微細で、相対密度99%の高密度焼結体であり、高速中性子やヘリウム照射に対して優れた耐性を示すことが明らかにされつつある。一方、超微細粒W-TiCは、超微細粒化の結果、室温付近では降伏強度の増加により降伏前に破壊するため、靭性が十分でないという問題がある。この靭性を改善するためには、超微細粒を維持可能な比較的低温において十分な塑性加工を施すことが不可欠であり、塑性加工性に乏しいW-TiCの塑性加工技術の開発が必要となる。その技術開発には超塑性の発現とその利用が鍵となるので、まずTiC添加量が0〜1.5%の超微細粒W-TiCを作製して1400〜1700℃の温度範囲で高温引張試験を行い、超塑性の発現を見出すとともに、その中で塑性加工に強く関わる機械的性質(伸び、変形抵抗、その歪速度感受性指数(m))に及ぼすTiC添加量とMA雰囲気(H_2,Ar)の効果を明らかにした。次に、種々の塑性加工条件に対する最適なTiC添加量とMA雰囲気についての知見を下にW-1%TiC(Ar)を選択し、それについて従来の塑性加工法(熱間押し出し、圧延等)とともに、それとは異なる塑性加工を試みた。その結果、予備的段階にあるものの、塑性加工後の試験片の室温破壊強度は3.5GPaにも達し(塑性加工前:1.5GPa)、わずかながら室温で延性を示すことが見出された。これは画期的な成果である。
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