研究概要 |
トロイダルダイバータ模擬試験装置NAGDIS-Tにおいて非接触重水素プラズマの生成を確認した。分光計測により重水素の三体再結合に伴う高励起準位からのバルマー系列の発光を確認した。ボルツマンプロット法によって電子温度T_e、D(12-2)線を用いてシュタルク拡がり幅から電子密度n_eを導出したところ、T_e〜0.11 eV, n_e〜3.3×10^<18>m^<-3>という再結合が起こるのに最適な低温高密度プラズマとなっていることが確認できた。また、プラズマデタッチメント現象による熱流低減効果を確認するために、接触プラズマ、非接触プラズマそれぞれの一周目から二周目へのプラズマ圧力減衰比を比較した。接触プラズマの場合2.0×10^<-1>、非接触プラズマの場合3.6×10^<-2>となり非接触プラズマ現象では接触プラズマに比べてプラズマ圧力を10倍程度低減することがわかった。さらに,重水素再結合プラズマ形成に対する分子活性化再結合過程の寄与も実験的に明らかにした。 非接触重水素プラズマ中で等方性黒鉛への照射実験を行い、電子-イオン再結合により生成された中性粒子が炭素の化学スパッタリングによる損耗に大きな影響を与えていることを明らかにした。非接触重水素プラズマ照射による炭素材の損耗量の表面温度依存性より,試料温度600K-800Kにおいて、重水素原子による損耗量はイオン入射の効果も含む浮遊電位での損耗量と比較して50%以上であることを確認した。
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