高速イオンと高速イオン起因不安定性の非線形相互作用の物理機構を解明するため、高速イオンの空間分布を高時間分解能で計測することを目的としている。平成19年度に行ったハードウェア、及び、ソフトウェアの整備により、初期的なデータが得られたが、中性子とガンマ線の弁別手法や光電子増倍管の設定電圧の調整と最適化が必要であることがわかったため、ソフトウェアの整備や必要なハードウェアの改造により調整等をおこなった。結果、高い弁別性能での中性子計測が可能となった。本システムを用いて高速イオン起因不安定性による高速イオン輸送の研究を行う予定であったが、短時間に多量の高速イオンを発生出来る負イオン源中性粒子ビームが、調整の都合で、このような実験に必要な入射パワーで運転出来ず、充分な量の高速イオンを発生出来ず、本研究で求められるタイプの高速イオン起因不安定性を励起出来なかった。そこで、本システムのもう一つの開発課題であったDT核融合反応起因の中性子の測定をめざし、実験を行った。結果、DT中性子を発生させる高速トリトンの輸送研究が可能なレベルのデータの取得に成功した。初期的な成果はReview of Scienti fic Instruments誌に論文として掲載され、また、5件の学会発表を行った。今後、システムの較正を原子力機構の核融合中性子源(FNS)装置を用いて実施し、中性子分布の定量的な評価が可能となるようする予定である。
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