原子炉炉心燃料の開発には、原子炉運転中に想定される様々な使用条件に対する物性データの整備が不可欠である。本研究では、原子炉炉心燃料の中でも実験データの少ないプルトニウム(PuO_<2-x>)酸化物の不定比性について理論計算と実験の両面から研究した。 グローブボックス内での不定比酸化物の調整方法を確立した。プルトニウム酸化物はα放射体であるため、試料調製作業はすべて日本原子力研究開発機構燃料試験課(AGF)にて、グローブボックスの中で行った。マルチ雰囲気加熱炉を微量(〜10mg)試料対応用にセットアップし、これを用いて出発物質(酸化物)から炭素熱還元法により窒化物を経由する方法を用い、加熱条件等を最適化することにより、NMR測定用Pu酸化物を調製した。 その試料を用いて予備試験を実施した。その結果、定比プルトニウム酸化物では酸素サイトは一つで立方対称を持つことがわかった。これは欠陥のない場合に予想されたことである。また、同様にCeO_<2-x>の調整を行いNMR試験を実施した。その結果、不定非性に伴いNMR-線幅が増大し、異なった酸素サイトが現れることがわかった。CeO_<2-x>はPuO_<2-x>と同じ結晶構造持ち欠陥の種類も同じであることからPuO_<2-x>の模擬物質として良く実験に利用される。CeO_<2-x>は非放射性物質であり取り扱いが容易で有ることより本研究では先行試験としてCeO_<2-x>を用いたNMR試験を実施している。 第一原理計算については小数の粒子系での計算をPCクラスターで実施し、欠陥格子位置、カットオフ等の計算パラメータを決めた。
|