研究課題
ベントナイト粘土中のイオンの移行挙動は、放射1生廃棄物処分の安全評価のため重要であるが、地下の還元環境を模擬した実験は困難であった。また、イオンの中には移行の極めて遅いものがあり、その移行パラメータを現実的な期間で得るための手法が必要とされていた。提案者らは、電気化学的手法を用いて、ベントナイト粘土中に安定な還元環境を生み出し、粘土中のイオンの移動を加速して移行のパラメータを得る手法を開発した。平成19年度に得た鉄の移行挙動とpH測定データに基づき、平成20年度はアルカリ金属の移行挙動に関するパラメータを得た。平成21年度はアルカリ土類金属の移行挙動に関するパラメータを得た。本手法により、鉄イオンやアルカリ金属と同じくアルカリ土類金属イオンも移行を加速し数日間で数mmの距離を移動した。電位による移動速度は、カルシウム、ストロンチウム>鉄>バリウムの順で、分散係数は、バリウム>鉄>カルシウム、ストロンチウムの順となっており、イオン半径との相関関係(反比例)が見られなかった。また、通常の拡散実験も同時に行った結果、拡散係数は、バリウム>カルシウム>ストロンチウムの順となり、イオン半径、水和半径との相関も見られなかった。拡散係数と鉄共存系で得られた分散係数とを比較した結果、ベントナイト粘土中のナトリウムイオンと鉄イオンが置換することによりアルカリ土類金属イオンについても拡散係数が低下する傾向があることを見いだした。
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Proc. Materials Research Society Symposium on Scientific Basis for Nuclear Waste Management XXXII 1124
ページ: 283-288
Proc. Materials Research Society Symposium on Scientific Basis for Nuclear Waste Management XXXIII 1124
ページ: 453-460