研究概要 |
本研究では,海外のサンベルトの大型集光システムで得られる〜1600℃の高温太陽熱を熱源として2段階水熱分解サイクルを行う高水熱分解性セラミックの開発と, その反応デバイス化を目的とする。すなわち, (1) 研究代表者が見出したフェライト/ジルコニア反応体を基軸とした高水熱分解性セラミック粉体を開発し, (2) それを欧米, 日本で開発中のソーラー水分解器の反応体として応用できるように反応デバイス化し, (3) その反応デバイスの反応活性の評価を行うことを目的とする。 (1) 高水熱分解性セラミック粉体の開発を目的として, 米国サンディア国立研究所 (SNL) と共同で, 研究代表者が考案した鉄含有ジルコニア粉体をゾルーゲル法及び担持法で合成し, その反応活性と反応機構を明らかにした。SNLのロータリー型水分解器の1400〜1600℃の反応温度で試験し, 反応温度と反応活性の関連を明らかにした。一方, SNLの熱力学計算ツールで熱力学的に期待できる反応活性の限界値を明らかにした。 (2) 高水熱分解性セラミックの反応デバイス化を目的として, ウォシュコート法, 含浸法, スピンコート法, またそれらの組み合わせにより小型反応デバイス(3cm径×1cm厚)を作製し, 太陽光シミュレータで活性試験を行った。種々の合成法で反応活性が最も高くなる合成条件を見出し, それら小型反応デバイスのよって水素・酸素を交互に放出させる2段階水熱分解サイクルを繰り返し行うことに成功した。 (3) 5kW太陽炉で反応デバイスの試験を行うための大型反応デバイス (8cm径×2cm厚) をスピンコート法で合成した。韓国インハ大学と共同で,この反応デバイスを太陽試験するためのソーラー反応器を設計した。
|