本研究では、石炭、廃棄物、バイオマス等による燃焼・ガス化プロセスにおける燃料中の灰成分に関する物理・化学的挙動ならびに炉外への排出特性を、定量的かつ速度論的に解明し、その学理を構築する。主要な研究内容は、 1)燃料中に含有している灰成分の存在形態の定量化によるキャラクタリゼーション 2)燃焼・ガス化実験による反応過程中における灰粒子の凝集・分裂挙動の速度論解明 3)灰付着実験による炉内における灰付着挙動の速度論解明 4)炉外への灰粒子の排出特性定量化 であり、平成19年度は1)および2)の一部を実施した。得られた結果として、固体燃料中の灰成分には炭素質に包含されているインクルードミネラル粒子と独立して存在するエクスクルードミネラル粒子の両者が混在しており、それらの粒径分布、元素組成分布等を灰粒子毎に計測し、各燃料の灰の存在形態に関するキャラクタリゼーションを実施した。中でも、木質系バイオマス中の灰分については、粒径が1ミクロン以下であり、また、カリウムが主成分であった。つぎに燃料種によって燃料中灰分のインクロードおよびエクスクルードミネラル粒子の割合が異なっていたことから、ほぼ同一燃料性状で異なる石炭を燃焼させ、灰生成に及ぼすインクルードおよびエクスクルードミネラル粒子の影響を実験したところ、インクルードミネラル粒子を多く含む石炭は、比較的粗粒子の灰を生成した。これは燃焼過程において炭粒内でインクルードミネラル粒子が相互に凝集したことによる。一方、エクスクルードミネラル粒子を多く含む石炭は、1ミクロン以下の微粒子を多く生成した。これはエクスクルードミネラル粒子が熱衝撃により分裂したこと、ならびに、粒子中に含有している低沸点化合物成分が蒸発し冷却過程で微粒子化したことによる。
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