研究概要 |
本研究では、石炭、廃棄物、バイオマス等による燃焼・ガス化プロセスにおける燃料中の灰成分に関する物理・化学的挙動ならびに炉外への排出特性を、定量的かつ速度論的に解明し、その学理を構築する。主要な研究内容は、 1)燃料中に含有している灰成分の存在形態の定量化によるキャラクタリゼーション 2)燃焼・ガス化実験による反応過程中における灰粒子の凝集・分裂挙動の速度論解明 3)灰付着実験による炉内における灰付着挙動の速度論解明 4)炉外への灰粒子の排出特性定量化 である。得られた結果として、固体燃料中の灰成分には、炭素質に包含されているインクルードミネラル粒子と、炭素質とは独立して存在するエクスクルードミネラル粒子の両者が混在しており、それらの粒径分布、元素組成分布等を灰粒子毎に計測し、それらと実験で得られた灰付着量との相関を、化学熱力学平衡論を用いて理論的に解明にした。つぎに、石炭燃焼実験を電気加熱式ドロップチューブ炉で実験した結果、生成灰粒子は1μm以下と数ミクロンのバイモーダルな粒径分布になった。さらに、1μm以下の微粒子中に、反応過程中で揮発化し易い微量金属成分(Pb,、Cd、Na、K等)が高濃度で濃縮している傾向があることも判明した。最後に、燃焼炉内における灰付着を軽減する方法として、伝熱管表面にNi系の材料を溶射することにより、付着する灰の量が軽減できる結果を得た。また、この現象を熱力学平衡論の観点から理論的に検証した。
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