研究課題/領域番号 |
19360438
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
八尾 健 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50115953)
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研究分担者 |
日比野 光宏 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (20270910)
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キーワード | ハイパワー電池 / リチウムイオン電池 / 高イオン伝導 / 複合材料 / コバルトバナジウム酸化物 / 燃料電池 / バリウムインジウム酸化物 / 一室式燃料電池 |
研究概要 |
前年度の成果を基にして今年度は以下の成果を得た。 1.種々のイオン伝導チャンネルサイズをもった物質の合成と電気化学評価 結晶構造中にトンネル有する酸化コバルトバナジウム(CoV308)のリチウムイオンとの反応性を詳細に調べた。特に、リチウム量とともに変化する構造を、粉末X線回折測定データを用いてリートベルト解析を行うことで精密に調べることができた。その結果、リチウムのインターカレーションサイトをほぼ決定することができ、サブナノ伝導チャンネルに関する情報が得られた。 2.異なるスケールで複合化したイオン伝導チャンネルの設計と合成 電気化学反応が起こっている実際の系に即したイオン伝導チャネルを構築するために、一室式燃料電池の電極において気体-固体(電極)-固体(電解質)の三相界面に適した構造を探索した。その結果、電解質支持型から燃料極支持型に変更し、電極焼き付け方法を改良することで、燃料極の部分酸化反応とガス拡散とを両立したセルを作製することができた。このタイプのセルで今後さらに性能向上が期待できる。リチウムイオン電池電極において、液体(電解質)-固体(活物質)-固体(導電助剤)への電子、イオン供給が適する構造の指針を探るため、酸化物-炭素材料複合体のリチウム挿入・引き抜き特性と炭素材料の種類、量、処理法との関係を調べた。その結果、炭素材料としてケッチェンブラックを使用した場合、メソサイズの孔を保持したまま電極材料として酸化物と複合化すると良好な特性が得られることがわかった。 3.高速充放電電極の作製と特性評価 上の項目1および2で得られた材料について、高速性能という観点から、大きな電流を用いた電気化学測定を行った。その結果、燃料極支持タイプでかつニッケルサーメット及び電解質保護層を導入することで酸化バリウムランタンインジウム(BaLaIn205.5)電解質を用いた一室式燃料電池としては、これまでで最も大きな出力密度での発電が可能となった。
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