研究課題/領域番号 |
19370004
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
柴田 武彦 独立行政法人理化学研究所, 柴田上席研究員研究室, 上席研究員 (70087550)
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研究分担者 |
美川 務 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 研究員 (20321820)
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キーワード | ゲノム構築・機能・再編・発現・維持 / 相同DNA組換え / RecA / Rad51型相同的対合蛋白質 / Recombinase / 組換えメディエーター / ヘテロ二重鎖形成 |
研究概要 |
RecA型蛋白質によるヘテロ二重鎖形成反応について、(1)一本鎖領域の周囲にATP型RecAが右巻きラセン繊維状構造を作り、中心の一本鎖DNAは、塩基面間がsAの伸張構造をとる。(2)繊維状構造にあるGatewayから二重鎖DNAが内部へ導入され、同様に伸張され、一本鎖DNAと会合する。(3)塩基対の解離・塩基水平回転運動により、二重鎖DNAの塩基・一本鎖DNAの塩基間で、相補検索が行なわれ、相同領域で両鎖が会合したとき一挙にヘテロ二重鎖の核ができる。(4)その後、ヘテロ二重鎖がATP分解を伴って伸張する、という作業仮説で研究している。また、生体内では、一本鎖DNA領域ができると、RecAの結合を阻害する一本鎖DNA結合蛋白質(SSB)が結合する。RecOは単独でヘテロ二重鎖形成を行うとともに、RecAをSSBで覆われた一本鎖DNA領域へ載せる組換えメディエーターとしての機能も担う。本年度の研究で:(1)RecO存在下でRecA単独より2倍近いssDNA依存的ATPase活性が見られ、RecOによるRecAの活性促進が明らかになった。この促進はssDNAが短いときにのみ見られ、長いssDNAでは、RecOがRecAの活性を阻害した。(2)RecOが共存したときにはRecAのssDNA結合が強くなることが、ストレプトアビジン樹脂とビオチン化ssDNAを用いたpull-down法解析で明らかになった。(3)RecOに結合したssDNAは、RecA同様B型DNAから約1.5倍伸長した特異的構造を形成することが、NMRで明らかになった。また、引伸ばされた単鎖DNAが切断される条件下でも、RecA同様の切断パターンが観察された。以上で、RecA・単鎖DNA結合を安定する組換えメディエーター機能と、RecAと共通機構での相同的対合反応触媒というRecOの二面性への理解が一歩進んだ。
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