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2007 年度 実績報告書

送粉シンドロームのシフトに関する実験進化生態学的研究:キスゲとハマカンゾウを例に

研究課題

研究課題/領域番号 19370012
研究機関九州大学

研究代表者

矢原 徹一  九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90158048)

研究分担者 川窪 伸光  岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60204690)
陶山 佳久  東北大学, 農学研究科, 准教授 (60282315)
舘田 英典  九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70216985)
キーワード送粉 / 花色 / 花香 / 開花時間 / 種分化
研究概要

ハマカンゾウは昼間に開花し、赤い花をつけ、花香はなく、主としてアゲハチョウ類に送粉される。キスゲは夜間に開花し、黄色い花をつけ、花香を持ち、主としてスズメガ類に送粉される。本研究の目的は、(1)対照的な2種の花形質がどのような遺伝的基礎を明らかにすること、(2)形質が分離したF2個体の送粉成功度を調べ、各花形質今の送粉昆虫による淘汰圧を評価する、(3)受粉実験の結果などを総合して、昼咲き種から夜咲き種への種分化機構を解明することである。(1)については、F1個体のつぼみから作成した約3000のESTを解析した。その結果、花色に関してはアントシアニン合成系とカロテノイド合成系、花香に関してはベンゾイド合成系とテルペノイド合成系の候補遺伝子を特定した。また、これらの合成系の調節に関与する候補遺伝子として、MYB R2R3遺伝子群の配列を特定した。(2)については、ハマカンゾウとF2個体からなる実験集団でアゲハチョウ類とスズメガ類の訪花行動を調べた。その結果、アゲハチョウ類は赤色、スズメガ類は黄色を好んだが、花香に関しては両者ともに有意な選好性を示さなかった。花香形質が分離しているF2個体のみを用いた解析では、スズメガ類は花香が弱い花を好む傾向があった。花香は、スズメガ類を群落に誘引するうえで効果があるが、群落内ではむしろ花香が弱い花が好まれている可能性がある。(3)については戻し交雑過程での果実稔性低下に関する論文を発表した。
これらの結果を総合し、昼咲き種から夜咲き種への種分化機構に関する総説を発表した。これまでに得られた結果から、種分化の初期過程では花香よりも花色の変化が先行した可能性が示唆される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Reproductive isolation on interspecific backcross of F1 pollen to parental species,Hemerocallis fulva and H.citrina(Hemerocallidaceae)2008

    • 著者名/発表者名
      Yasumoto, AA., Yahara, T.
    • 雑誌名

      Joumal of Plant Research Online first

      ページ: DOI 10.1007/s10265-008-0152-1

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 花香と花色:キスゲとハマカンゾウの種差の遺伝的背景を探る(第6回日本植物分類学会賞受賞記念論文)2007

    • 著者名/発表者名
      矢原 徹一
    • 雑誌名

      分類:bunrui:日本植物分類学会誌 7

      ページ: 93-110

  • [学会発表] 夜咲き種キスゲと昼咲き種ハマカンゾウから開花時間の遺伝的基礎に迫る2008

    • 著者名/発表者名
      新田 梢・安元 暁子・矢原 徹一
    • 学会等名
      日本生態学会第55回大会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      2008-03-15

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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