植物の培養細胞(タバコBY-2)への抗体のインジェクションによる機能阻害、ならびに、植物の雌性配偶体細胞(トレニアの裸出胚嚢)へのモルフォリノアンチセンスオリゴのインジェクションによる遺伝子発現阻害実験を中心に、レーザーマイクロインジェクション法の評価・最適化を進めた。はじめにレーザーインジェクターの実用化(販売開始)を行い、それにともない、レーザー吸収剤や紫外線硬化性樹脂などの検討、および実験手法の最適化(マニュアル化)を行った。これにより、レーザーインジェクターを購入した研究者と、異なる細胞系での結果について情報を得ることもできるようになった。さらに上述の解析を進めたところ、インジェクションを高効率で行うための重要なポイントが多く明らかとなり、さらに抗体のインジェクションによる阻害効果が見られ始めた。また、モルフォリノアンチセンスオリゴの導入により、花粉管ガイダンスが阻害されるという予備的な結果が得られ始めた。現在、特異的に目的遺伝子の発現量が減少しているか、コントロールとなる遺伝子の探索と、インジェクション後の試料のRT-PCR解析の条件検討を進めている。細胞2個に由来するmRNAから安定してRT-PCRを行えるようになりつつある。コントロールとなる標的細胞の他の特異的遺伝子が複数同定されてきており、アンチセンスオリゴ導入の効果が、近く判別できるものと考えられる。またさらに、遺伝子発現を行わせる系の確立に向け、mRNAのin vitro精製などの条件検討を開始した。
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