平成21年度は、まずA型CDK (CDKA)の基質候補タンパク質を探索する中で、根の形態形成を統御する転写因子がin vitroでCDKAめ標的となることを見出した。この転写因子には近縁の因子が存在し、それらが転写因子ファミリーを構成ることから、それらの近縁因子についてもCDKAの標的となるかどちか検討した。その結果、CDKAはある特定の近縁因子に対してのみリン酸化活性をもつことが明らかになった。そこでタンパク質を分割し、特定のドメインごとにリン酸化アッセイを行った結果、リン酸化部位を有するタンパク質領域を明らかにすることができた。今後、リン酸化部位を特定することにより、ノックイン植物を利用した表現型解析を行う予定である。一方、CDKインヒビターをコードするKRP積伝子のシロイヌナズナ変異体でDNA損傷応答や核内倍加に差異が見られることを見出した。この結果は、通常の細胞分裂サイクルがエンドサイクルに移行する際にKRPが何らかの機能を持っていることを示唆している。 これまでG1/S期のマーカー遺伝子としてCDTlaに注目してきたが、今年度はCDTlaの各種ドメインをGUS遺伝子に連結して発現解析回を行った。シロイタナズナ植物体およびタバコBY2細胞を用いて解析した結果、C末側領域が細胞周期の時期特異的発現に必要十分であること、またその発現はS期特異的であることが明らかになった。今後はこの領域を蛍光タンパク質に連結して、G2/M期マーカーと一緒に発現する細胞周期マーカーを作成していく予定である。
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