研究課題/領域番号 |
19370021
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
杉浦 昌弘 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 名誉教授 (80027044)
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研究分担者 |
黒田 洋詩 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 研究員 (80381903)
中邨 真之 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 研究員 (60322145)
湯川 眞希 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 研究員 (00448705)
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キーワード | 葉緑体 / mRNA / 翻訳 / 5'UTR / コード領域 / In vitro / タバコ / 適合配列 |
研究概要 |
葉緑体mRNAの翻訳開始に、5'非翻訳領域(5'UTR)と共にタンパク質コード領域も関与するという「5'UTRとコード領域の適合性」の仮説を検証するため、我々の高活性タバコ葉緑体in vitro翻訳系を用いて実験を進めた。 psbA mRNAを用いて適合性に関与する配列の探索(中邨、湯川) 光化学系IIのD1コード領域はリジンを含まない。葉緑体では翻訳できない外来遺伝子TATは9個のリジンを含む。蛍光リジンtRNAを含むin vitro系で反応させると、リジンはTATだけに取り込まれるので、TATコード領域の翻訳のみを検出できる。そこで、D1コード領域を3'末から決失させたmRNAの翻訳速度を測定し、TATを翻訳可能とさせるD1コード領域として5'末端から50ヌクレオチド内の範囲にあることを明らかにした。 2.psbA mRNAやpsbN mRNAなどの翻訳のトランス因子の同定(黒田) 光化学系IIのサブユニットをコードするpsbAとpsbNの5'UTR内のシス配列に作用するトランス因子をゲルレターデーション法とUVクロスリンク法で調べたところ、psbAとpsbNともそれぞれ2種の因子が存在することを示した。 3.ndhC-ndhK mRNAの翻訳機構(湯川) NADHデヒドロゲナーゼのCとKサブユニットをコードするndhCとndhKはオーバーラップしており、両サブユニットは一本のmRNAから翻訳される。実験開始後に、このmRNAが適合性仮説の検証のよいモデルになると思いつき、このmRNAの翻訳を調べた。後方のndhK mRNAのAUGが存在しているのでin vitro系で調べたところ第3番目のAUGが真の翻訳開始コドンであることを示した。次いでこの翻訳には前方のndhC mRNAの翻訳停止コドンが必要であることを発見した。
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