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2008 年度 実績報告書

アクアポリン分子の多様性と両生類の水適応戦略

研究課題

研究課題/領域番号 19370024
研究機関静岡大学

研究代表者

田中 滋康  静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (90146233)

研究分担者 鈴木 雅一  静岡大学, 理学部, 准教授 (60280913)
キーワードアクアポリン / 水チャネル / 水適応 / 分子多様性 / 下腹部皮膚 / アフリカツメガエル / 無尾両生類
研究概要

無尾両生類の主な水分調節器官は下腹部皮膚,膀胱,腎臓である。本研究では,水適応が異なるカエル類を用い,下腹部皮膚から下腹部皮膚型アクアポリン(AQP)水チャネルのcDNAをクローニングした。水棲生活をしているアフリカツメガエルの下腹部皮膚にもAQPの遺伝子が発現しているが,タンパク質には翻訳されないことを発見した。このAQP-x3のアミノ酸配列は他の樹上型,陸上型,半陸上型の下腹部皮膚型AQPと異なり,C末端のシスティンを起点に10アミノ酸残基ほど長い。システィンをセリンに,またストップコドンに置換すると,タンパク質が翻訳され,ツメガエルの卵細胞を用いたスウエリング測定により水透過性も見られるようになった。さらに,アマガエル腎臓型AQPにツメガエルAQP-x3のC末端を付加すると,タンパク質発現や水吸収のが失われることを見出した。このことは,ツメガエル下腹部皮膚ではバソトシン(AVT)に応答して水吸収は促進されないという知見を考え合わせたとき,ツメガエルの水適応の過程で遺伝子の変異が起こったことを示唆している。また,哺乳類AQP3に相同性が高いツメガエルAQP-x3BLに対するペプチド抗体を作成し,各種水代謝組織での発現を調べた。AQP-x3BLは主として細胞の側底部細胞膜に発現していた。ツメガエルでは,腹部全域に発現していたが,背側部では発現がほとんど見られなかった。これは,背側部でも発現があるアマガエルと異なり,背側部への水の供給が悪く,陸上での寿命が短命であることと関係しているかも知れない。また,ツメガエルの膀胱型AQP-x2をクローニングし,AQP-x2タンパク質の発現は,AVT依存性が低いことを明らかにした。さらに,ツメガエルでは大腸にもAQP-x3BL発現し,口から水を飲むことが示唆された。これらの結果は,水棲ツメガエルの水適応の特異性を示している。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Molecular and cellular regulat ion of water homeostasis in anuran amphibians by aquaporins.2009

    • 著者名/発表者名
      Suzuki M
    • 雑誌名

      Comp Biochem Physiol A. (In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The spatial and temporal expression of detal-like protein 1 (Dlkl)in the rat pituitary gland during development.2009

    • 著者名/発表者名
      Nakakura T
    • 雑誌名

      Histochemistry and Cell Biology 131

      ページ: 141-153

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Immunolocalization of a mammalian aquaporin 3 homologoue in water-transporting epithelial cells in several organs of the clawed toad Xenopus laevis.2008

    • 著者名/発表者名
      Mochida H
    • 雑誌名

      Cell Tissue Res 333

      ページ: 297-309

    • 査読あり
  • [学会発表] アフリカツメガエルに発現する下腹部皮膚型アクアポリンの発現調節2008

    • 著者名/発表者名
      尾串雄次, 赤羽根弦, 鈴木雅一, 田中滋康
    • 学会等名
      (社)日本動物学会第79回大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20080905-20080907
  • [学会発表] アフリカツメガエルにおける膀胱型アクアポリン(AQP)の同定と機能解析2008

    • 著者名/発表者名
      片山いずみ, 尾串雄次, 中倉敬, 持田弘, 鈴木雅一, 田中滋康
    • 学会等名
      (社)日本動物学会第79回大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20080905-20080907
  • [学会発表] アマガエル下腹部皮膚の水吸収の仕組み2008

    • 著者名/発表者名
      塩田真央
    • 学会等名
      (社)日本動物学会第79回大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20080905-20080507
  • [学会発表] アマガエル下垂体のゴナドトロピン細胞における哺乳類アクアポリン3と相同タンパク質の局在2008

    • 著者名/発表者名
      塩田真央
    • 学会等名
      第35回日本神経内分泌学会第23会日本下垂体研究会合同学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20080828-20080830
  • [学会発表] カエルの水適応におけるアクアポリンの多様性とホルモン調節2008

    • 著者名/発表者名
      鈴木雅一
    • 学会等名
      第33回日本比較内分泌学会大会及びシンポジウム
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2008-12-06
  • [図書] Osmotic and ion regulation in amphibians. In : Osmotic and Ionic Regulation : Cells and Animals2009

    • 著者名/発表者名
      Hillyard D
    • 総ページ数
      590,367-441
    • 出版者
      CRC press
  • [図書] 両生類の水代謝 In : 水とからだの事典2009

    • 著者名/発表者名
      田中滋康
    • 総ページ数
      357,106-112
    • 出版者
      朝倉書店
  • [備考]

    • URL

      http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/sbstana/ST-Lab-J.html

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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